母親とレーシック手術

10年頃前、レーシック手術が流行った時代があったとおもいます。どの芸能人がレーシックをしたとか、レーシックはすごい!とかそういう風の噂が飛び交いすぎて暴風が吹いていたなとおもいます。その時期、定期的に母親は「角膜というものは2枚あって、レーシック手術はその1枚を剥がすものなの。だから、もう白内障とか緑内障になったときに残り1枚の角膜を剥がしたら失明しちゃうから治らないんだよ。」と説明してくれたのでわたしは、なるほどそうなんだ、医者の母親が言うのなら間違いない、レーシックは怖いなあ  と信じてきて、目の悪いわたしは一生裸眼ではすごせないサダメなのだと思ってきました。

 

最近久しぶりにその話を思い出したので母親にレーシックってこわいよね、と話したら「なにそれママそんなこと言ったっけ、違うんじゃないの」と言われて「え〜〜〜〜〜〜〜!!!」となりました。その「え〜〜〜〜〜〜〜!!!」という言葉にはいろんな感情が詰まっていて、それじゃあレーシックってつまりなんなんだ?という疑問、あの時の母親の熱量は幻覚か?という不安、そもそもなぜわたしに適当なことを言っていたんだという恐怖などがぐちゃぐちゃに入り混じりたちまち混沌になってしまいそうになりました。よくわからない王様に七つも穴をあけられるところでした。

母親はあまりそういう変なことをしないのでますます大丈夫か?と思いました。母親の言ってることが前後で違いすぎるのでもし裁判中だったらわたしは完全に負けています。いや母親が負けているのか?そんな裁判がなくて良かった。

 

今日も母親は「高2の弟がママに黙って友達とごはんを食べに行ったのでママはすごく落ち込んでいる」と電話をかけてきて、そのときはめんどくさかったのですぐ切ってしまったのですが、切った後すぐに申し訳ないなと思い、ママ元気出してねと送りました。おかしいのは昔なのか今なのかわかりませんが、みなさんもわたしの母親にママ元気出してねと少しだけ思ってください。